【Life】マイナスのやさしさ、プラスのやさしさ、どちらの観点も持ちたい。
ひと言に「やさしさ」と言いましてもね、いろんなバリエーションがあると思うんです。
自分の価値観だけをもってして、「あの人は優しくない」と言わないように気を付けたいですね。
今回は、「やさしさ」を2つの対になった視点から見てみようというお話です。
僕は、やさしさには2種類あると思っています。
「プラスのやさしさ」と「マイナスのやさしさ」です。
何かをするとか、物をあげるといった類が「プラスのやさしさ」。
何かをしないとか、何かを除いてあげるといった類が「マイナスのやさしさ」。
ざっくりと、そんな感じです。
1. わかりやすく優しいプラスのやさしさ
「プラスのやさしさ」は非常にわかりやすいです。
傍目にもあの人は優しいんだなということが分かります。
お昼の時間、お箸を忘れてお弁当を食べれないとしましょう。
お箸をくれる行為は、プラスのやさしさに分類されます。
くしゃみをして、鼻水が垂れてきたとしましょう。
ティッシュをくれる行為も、プラスのやさしさです。
授業中、消しゴムを落としたとしましょう。
それを拾ってあげる行為も、プラスのやさしさです。
特に説明はいらないかと思います。
そういった類が「プラスのやさしさ」です。
2. わかりにくくとも大事なマイナスのやさしさ
さてさて、厄介なことにわかりにくいんだけども、とっても大事だと僕が思うのが「マイナスのやさしさ」です。
傍目には 優しくないように見えるかもしれないし、マイナスのやさしさを受けた人も「この人は優しくない」と思うかもしれません。
でも、相手の行為は実はあなたを思っての「マイナスのやさしさ」かもしれません。
分かりやすい例をまずはひとつ。
困りごとがあって、友達に相談したとしましょう。
その人は、特に解決手段を示すことなく、ただあなたの話を聞いて適度に相槌を打ってくれていただけでした。
あなたが自分の力で解決できると思っていたので、友人は何も言わなかったのです。
おそらく、これは多くの人が優しいと言うでしょう。
会議であなたが意見を求められたとしましょう。
しかしあなたは自分の意見を言うことが苦手で発言することができません。
会議室はシーンと静まり返り、文字通り何とも言えない雰囲気に。。
意見を求めてきた先輩も何も言わずに、あなたが口を開くのを待っています。
意見することを促す追コメントをしてあげる、流して話を進めてあげるといった行為は「プラスのやさしさ」になります。
この場面で、あなたが踏み出す一歩を信じて何も言わない先輩は「マイナスのやさしさ」を選択したと言えるでしょう。
例の説明が長くなっていることからもわかるように、「マイナスのやさしさ」はわかりにくく、説明しづらいのです。
3. 「プラスのやさしさ」と「マイナスのやさしさ」どちらの選択肢も考えているか?
僕は文章を書くことが好きで、小説も書きます。
以前このブログに投降した「君の波になる」という小説に2つのやさしさを比較した一説が登場します。
『例えば、荷物を抱えたおばあちゃんがいるとしよう。おばちゃんを助けようと思って、荷物を持ってあげるのが「プラスのやさしさ」だ。これはわかりやすい。傍目にもその人が優しいことはわかる。一方で、「マイナスのやさしさ」の場合はどうだろう。荷物を抱えたおばあちゃんがいることを認知はしている。しかし、荷物を持ってあげないという判断をする。それは、自分でもてる程度の荷物を持ってあげることは、おばあちゃんのためにならないと考えた結果だ。荷物を持ってあげることでおばあちゃんの腕力は弱って、どんどん持てる荷物の量が減っていくかもしれない。そうするとおばあちゃんが人に頼らないといけない機会が増えてしまう。結果として、不便な生活を強いられるかもしれない。』
やさしさに2つの側面があることをお分かりいただけると思います。
そして上記の文章の後、以下のように続きます。
『結局、「プラスのやさしさ」も「マイナスのやさしさ」もエゴでしかない。本当の意味で、他者の気持ちなんてわかりようがないから、それは仕方ない。大事なのは自分はよくよく考えたか、ということ。最初からプラスの面しか見ていなかったか、ということ。』
2つのやさしさ、どちらが良いとか、どちらが悪いとかはありません。
この場合には、こちらが良いとかもありません。
その時々において、自分自身で判断しなければなりません。
重要なのは、自分で考えてその判断をしたかということだと僕は思います。
4. 受けるときも、2つの観点を持っているか?
今まで、自分が「する側」で2つのやさしさの話をしてきました。
僕は、相手が自分に対してしてくれた行為に対しても、この2つの側面で考えた方が良いと思います。
つまり、「する側」であっても「される側」であっても、2つの観点を持っていたいのです。
一方の観点、例えば「プラスのやさしさ」だけしか考えていなかったとしましょう。
もし相手が、「マイナスのやさしさ」に分類されるような行為をあなたにしてくれたとします。
あなたはその行為を受けて「この人は優しくない」と思うかもしれません。
しかし、相手はそんなことを思われているとは微塵も思っていないわけです。
そのことを考えずに接すると、相手はどう思うか。。。
5. 「マイナスのやさしさ」的観点のデイケア
以前に、面白い記事に出会いました。
「攻めの健康があっていい」あえて病人を選ばない生き方に日本人の気概を見る!
この記事で、リハビリ特化型で行けサービスを提供する「ユーフィット」が紹介されています。
リハビリを中心とした次世代型デイケア
ユーフィットの社長のコメントを、とても面白いと僕は思いました。
『スパルタ式の筋トレが売り。年寄り扱いした優しいことは一切しない』
年配の方にスパルタ式筋トレ!!!
ユーフィットの施設には、入浴設備も食事介護もないそうです。
身の回りの世話を厚くしてあげる「プラスのやさしさ」とは正反対です。
機能訓練プログラムと称したトレーニングの手ほどきを受けることができるの、ぴったり「マイナスのやさしさ」とは言わないかと思いますが。
少し変わった視点で取り組んでいるデイケアサービスと言えるでしょう。
今回は、2つのやさしさの観点を紹介しました。
小説「君の波になる」の引用箇所で述べたように、どちらの優しさを取ったとしても、それはエゴで、本当のところどちらの選択が良かったのかはわかりません。
正しい選択をすることは重要ではないのです。
いくつかの視点から、自分の頭で考えて、行動したか?
自分が取れる行動はどちらか、今の状況ではどちらがよいのか、をよくよく考えて行動できるように僕はなりたいです。
そして、相手の行動に対しても、少なくとも2つの観点で捉えたいと思います。
プラスのやさしさと、マイナスのやさしさ。
凝り固まらないように、柔軟に。
チャンチャン♪