Bunshuが歩く。

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【Book】ヒトは世界中のあらゆるところにいて、人との関わりが結局は一番大事なのかね。 ~「はじめてのフィールドワーク①アジア・アフリカの哺乳類編」を読んで~

京都大学で野生動物の研究をしている学生が書いた本を読みました。

 

 はじめてのフィールドワーク①アジア・アフリカの哺乳類編」

 

僕はアウトドアが好きで、登山やキャンプを中心に外で遊んでいます。

そんなアウトドア好きが高じて、サークルも作ってしまったくらいです。

 

アウトドアサークルSAMPO

https://ja-jp.facebook.com/outdoorsampo/

 

 

 

僕は生き物が好きで、生物学を学んでいます。

 

僕の好きなアウトドアと生物学、これを足し合わせたのがフィールド研究だと個人的には思っています。

つまり、どっちも楽しめると。

 

というわけでフィールド研究にも興味を持っているので、この本を読んでみようと思い至ったわけです。

 

 

 

あと、上述したようにこの本は「学生」が書いています。

学生がどのような視点で、どのような文章を書くのかという点にも興味がありました。

 

 

 

この本では、マンドリル、チンパンジー、オランウータン、バク、ヒョウっといったアジア・アフリカに生息する様々な哺乳類の研究が紹介されています。

それらの生態だけでなく、どのように研究するか、どんな工夫があるか、現地生活はどのようなものか、といった点も述べられているのが面白いところです。

また、学生ならではなのかどうかよくわかりませんが、文章に飾りが少なく率直に書かれているようにも感じました。

 

フィールド研究の実態を知るためには、良い本だと思います。

 

 

 

結局大事なのは人間関係

さて、この本の中で最も印象的だったことを一点だけ紹介しておきます。

それは、「野生動物のフィールド研究でありながら、人間関係が肝だ」と随所に述べられていることです。

 

ここで言う「人間関係」にはかなり広い意味合いが含まれています。

いくつか例をあげます。

 

アジア・アフリカの野生動物のフィールド研究では、(主に)海外の自然保護区で行われます。

外国に入国しますので当然、種々の手続きが必要です。

さらに、自然保護区となると、別の手続きも必要となります。

この手続きが煩わしく、時間がとられるそうです。

 

担当の役所の返事が無かったり、手続きを延ばしに延ばされたりするそうです。

そこで、足しげく役所に通っていると、役所の人と友達になり、手続きを早くしてくれることもあるそうです。

自然保護区での研究のために管理している人たちとの人間関係が重要です。

 

 

野生動物が生息している森などは、辺り一帯が木々で囲まれ、何の目印もないなんて言うこともざらです。

そんな地帯に足を踏み入れる際は、原地住民の助けを借ります。

彼らはその土地に詳しく、独特の方向感覚を持っており、危険な生物にも詳しいからです。

 

雇うという行為は、日本で言う「アルバイトを雇う」といった感覚で、日給いくらとかいう計算をしてそのアルバイト代を払うそうです。

そのようなシステムは原地住民には存在しておらず、私たちの感覚がはまらないこともしばしばです。

 

集合時間に遅れてきたり、給料の前貸しを請うてきたりするそうです。

契約違反はクビを切れば済みますが、彼らとの間に溝を作ってしまってはなりません。

彼らがいないと研究ができないからです。

研究地域を歩くために現地住民との人間関係が重要です。

 

 

上気した内容とも関連しますが、現地住民の言葉を覚えることも必要となります。

役所で働く人は英語を話すことはできても、原住民は話せないことが多いからです。

研究のためには彼らが必要で、彼らと研究するためにはコミュニケーションが必要です。

 

 

 

野生動物は都市から離れた場所に棲んでいる場合もあります。

そのような人が普段いないような場所にも詳しい人がいて、そのような場所に入る場合にはヒトの助けが必要だということです。

 

野生動物の研究でも、人との関りが重要で、それを多くのフィールド研究者が語っていることが新鮮でした。

生き物が好きなだけでなく、人との関りが好きでないとやっていけないのですね。 

 

 

 

チャンチャン♪